思い出のマーニー。米林宏昌監督のスタジオジブリ作品。興行としてはパッとしなかったものの、実際観ると心を打つ良作でした。
物語は、主人公杏奈が喘息の療養のために、夏休みの間だけ、入江が綺麗な片田舎に引越してくるところからはじまります。借りぐらしのアリエッティと設定が似ているなと思いながらも、こちらはファンタジー要素は少なめで、マーニーとの交流が淡々と描かれます。
でも、マーニー自体の存在の不確かさみたいなのが、物語に引きつける役割になっていて、マーニーの秘密が小出しにされることで中盤以降目が離せなくなります。
そして、最後の大仕掛け。すべての点が線につながる感覚に、鳥肌が立ちました。世代を越えて繰り返す親子関係とそれを乗り越えていく姿に期せずして涙することとなるのです。
ジブリアニメといえば、子ども向けのイメージがありますが、本作については、わりとディープな家庭環境を描いてますし、複雑な構成なので、完全に大人向けかと。子どもたちは最後の方で訳が分からなくなったようで、「マーニー」はどこに行ったんだ?と繰り返していました。